~象牙まめ知識~
●象牙製品ってワシントン条約で国際取引が規制されているけど購入しても問題ないの?
象牙製品や象牙材料の国内での取引については、「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」(種の保存法)に規定されており、当店のように「種の保存法」に基づいて登録をしている業者(特別国際種事業者といいます)からの購入であれば問題ありません。当店は、種の保存法に基づき特別国際種事業者の登録を行っており、象牙を取り扱うことが認められておりますので安心してご購入いただけます。
特別国際種事業者は、下のように登録番号等を提示しております。
もし、本当に登録されている特別国際種事業者なのか心配な場合は、提示されている事業者番号について一般財団法人自然環境研究センターに確認すれば調べていただけると思います。
象牙やその製品・端材等の日本からの持ち出し(輸出)については、原則としてワシントン条約、国内法により認められておりませんので、ご購入された象牙は日本国外に持ち出さないようご注意願います。
●象牙の輸入は禁止されているのでは?
象牙はワシントン条約によって1989年から輸入禁止になりました。それ以降、輸入国・輸出国などが象牙の国別管理(ナンバーリング)をする努力をし、1999年に限定的に日本に輸入されました。しかし、輸入量は限定的であり、現在流通してる象牙は輸入禁止以前の在庫で賄われているのが現状です。そこで日本の象牙業者は環境庁や経済産業省の協力のもとで業者登録をし、登録業者のみが象牙原料のナンバーリングをすることによって管理し、販売し、流通の透明性を高め、不正な象牙取引の排除を目指しています。このようにして、自然保護と自然物の調和のとれた消費の道を摸索している段階です。当店も象牙の特定国際種事業者として名を連ね、協力しています。また、ワシントン条約は国際取引に関する取り決めですので、日本国内で「種の保存法」に基づいて象牙製品の製造や販売を行うことは、条約上も、日本の法律上も問題ありません。
●象牙材料を購入し、自分で象牙製品を作ってそれを販売してもいいの?
象牙の製品や端材等を事業として販売する場合は、有償・無償、法人・個人を問わず、事前に一般財団法人自然環境研究センターに「特別国際種事業」の登録が必要になります。一般消費者の方が象牙製品や端材を購入することについては、この登録は不要ですし、法人、研究機関、大学やその学生さん等が、サンプル品の試作や研究試験等に使用するために購入する場合もこの登録は不要です。
「特別国際種事業」の登録をしたい場合や詳細を確認したい場合は、一般財団法人自然環境研究センターに相談するとよいでしょう。
●どんな製品があるの?
象牙製品は主に、彫刻品、細工物、アクセサリーに大別されます。
彫刻品には、象牙そのものを磨き、その中央部に七福神や鯉の彫刻を施した飾牙(横置き)や、大きな船に七福神の彫刻を乗せた飾りの置物などがあります。これらは、床の間や洋室の飾りとして作られています。そのほか、江戸時代の印籠につけた根付(現代のキーホルダー)のような小さな彫刻品や、20~30cmほどの寿老人、布袋、観音様、花筒など違い棚に飾るサイズのものまでさまざまな形態のものがあります。
細工物とは、彫刻を施さず生活に使用し、実用的なものではあるが一味違うものが持ちたいという人のためのものであり、たとえば、象牙の夫婦箸、ステッキの柄の部分、三味線のバチ・糸巻、琴の柱・爪、印鑑、ピアノの鍵盤、和裁のヘラ、耳かき、茶道具の茶入れのふた、茶杓などがあります。
アクセサリーの分野では、さまざまな形のネックレスやイヤリング、ブローチ、ペンダントといったものがあり、特に天然のものが好まれたときに、豊かな人々にもてはやされました。いずれの製品も、その天然資源のもつ、肌触り、手触り、高級感が使う人を魅了し、満足感を高め、愛用されています。
●お手入れの方法は?
お手入れは、天然物であるため難しさはありません。汚れやほこりをとるために水で洗ってもいいですが、その際は水分をきれいに乾いた布でふき取り、日陰干し(直射日光を避ける)をしてください。また、もともとあった光沢が鈍くなってきた場合、湿った布でほこりなど汚れをふきとり、その後、日曜大工店などで市販されている研磨剤(コンパウンド)で磨くと輝きが戻ります。
夫婦箸などが黄ばんだときは、家庭でふきんを白くする市販の洗剤を、倍くらいに薄めて2、3日程度つけておかれるときれいになります。ただし、ネックレスの黄ばみの場合は、洗剤につけてはいけません。ネックレスのひもの部分が弱くなり、切れやすくなるからです。ネックレスは洗剤で拭くくらいしかできませんので注意してください。
●象牙の歴史
象牙は、正倉院のぎょ物に今でも残っているぐらい変化せず、古来よりサンゴ、べっ甲と並ぶ自然の与えた貴重な財産として愛用されてきました。江戸時代の古文書には、象牙細工の職人たちが品物を作っている挿し絵が載っています。明治時代以降、和楽器の三味線が楽器の主流であったときには、それに使うバチや糸巻の高級品には象牙が使用され、大正・昭和など、タバコのフィルターがない時代には、パイプに凝る人が多く、パイプが主な生産品となった。近年は、経済の発展とともに、また、庶民も銀行ローンができるようになり、実印(印鑑)の需要が飛躍的に伸びて、現在では象牙消費の80~90%は印鑑に加工されるようになりました。印鑑と同じ時代にアクセサリー類も一般的に普及しました。彫刻の分野においても、江戸時代には根付(根付とは印籠などにつける飾り。今のキーホルダー)が一世を風靡した時があり、戦後、進駐軍のアメリカ人が大変興味を持ち、昔のすばらしい作品を買いあさり、現在アメリカの美術館などには多量の根付が展示されています。現在も彫刻師は東京や京都にいます。しかし、京都は高齢化で数人が残るのみとなっています。
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